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私の留学レポート:フランス?ネオマビジネススクール?井口 涼花さん(2)~
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな彼らのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。
今回は、フランスに留学中の井口 涼花(いぐち すずか)さんのレポート第2弾をご紹介します。
頑張り過ぎずに向き合ってみる
留学でまず苦労した点は授業でした。日本にはビジネススクールといった経営学を中心に学ぶ学校はまだまだ少ないですが、欧米にはこのような大学が数多く存在し、ネオマビジネススクールもそのうちの一つです。AIUでもビジネス科目はいくつか学んできましたが、やはり学習方法に違いがありました。学んだ内容のうち何をどこまで覚えればいいのか分からず、復習の仕方も試行錯誤しています。また、ほとんどの学生が3年生までに長期インターンシップに参加していて、それらの職務経験を生かしたプレゼンテーションの機会も多く、自分の知識不足や経験不足を実感しています。
他に苦労した点は友だち作りでした。ネオマビジネススクールでは留学生用のプログラムがあるわけではなく、各々授業を選択し正規学生と同じ授業を受けます。よってどの授業もクラスメイトが違い、親しい知り合いを作るのが難しいと感じています。さらに運悪く寮の抽選に落ちてしまい、住居での友だち作りができなかったこと、そして私自身一人で行動しがちなことが災いし、秋学期はほとんど友だちができませんでした。他の学生の「私の留学レポート」を読んで、もっと友だちを作るために努力した方がいいのではないか、と悩んだ時期もありました。
しかし、誰しも得意不得意はあるので悩むことに時間を費やすのは止めようと、気持ちを切り替えました。今学期は大学の授業に少し慣れ、落ち着きを手に入れたことでようやく遊びに行ったり将来の話をできるような友人を持つことができました。しかし、考え方の違いに釈然としないことも多く、国籍を超えて友情を育むことの難しさを体感しています。
自分の好きなことを再確認
留学開始から2カ月が経った頃、先の2つの点や言語の壁で悩んでいた時にAIUの友人からトルコへの旅行に誘われました。フランスでは学期中に一週間ほど休みがあり、その期間に訪れたのですが、日頃の悩みを忘れ精神的にリフレッシュすることができました。それ以来、すっかり旅行の虜になっています。中?高生の頃はよく美術館に行っていたのですが、大学入学後は展覧会に行きにくく美術鑑賞への趣味が途絶えてしまっていました。しかし、ヨーロッパでは美術が身近にある環境に身を置き、有名作品から自分の好きな画家のものまで様々な作品に触れることができるので、息抜きにも繋がっています。
またヨーロッパの歴史にも関心があるので、旅行前にはその国?街の歴史を調べてから訪れるようにしています。その中で特に印象に残っているのはポーランドの首都、ワルシャワです。中学生の頃に「ワルシャワ蜂起」について書かれた「また、桜の国で」という小説を読んで以来、ワルシャワは訪れたい街の一つでした。実際に蜂起博物館へ行き、ポーランドが自国の歴史についてどのような認識を持っているか、次の世代に何を伝えたいのかを感じることができました。日本と直接的な関わりがないこのような歴史はなかなか学ぶ機会がないので、非常に良い機会となりました。ヨーロッパの首都としては珍しく近代的な建物が数多く建っており、古い建物は全くと言っていいほど残っていませんでした。その地の歴史を知ってから見るその景色は、今まで見たどの街並みよりも美しく感じられました。
心の支えは仲間の存在
AIUの友人の留学先も多く訪れています。現地を紹介してもらうことはもちろん楽しいのですが、何より他のAIU生が留学先で何を学び、どのような経験をし、どんな帰国後のビジョンを持っているのかを聞くのが一番の刺激になります。学び、暮らす国は違えど、同じヨーロッパ内にAIU生がたくさん留学しているということは心の支えになり、AIUコミュニティの強さを改めて実感しています。私の留学も残すところ2カ月で、帰国後のことを考える時期になってきました。帰国してから「留学中は良かったな、楽しかったな」という感想だけにならぬよう、最近は次のステップに向け情報収集や周りへの相談などで忙しい日々を過ごしています。
国際センターから一言
海外留学というと華やかな面だけに目が行きがちですが、留学中は大小様々な苦労や困難が起こり得ます。井口さんも悩み考えた時期があったようですが、自分なりの解決方法を見つけて、充実した生活を継続しているようですね。留学の内容は十人十色。周りの人と切磋琢磨しつつ、自分のストーリーを作り上げてください。
国際教養大学では日本への入国制限の緩和に合わせて2022年5月以降、留学生の受け入れを再開しています。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。